皆さんこんにちは、助産師たまです。
今日は誘発分娩についてまとめていきます!!
どんな時にするの?
妊娠を継続することが母や子にとってリスクとなるとき。
例えばコントロールのつかない妊娠高血圧、妊娠糖尿病、モニターをつけて赤ちゃんの元気がなくなっているとき、おなかの中の赤ちゃんの体重が増えていないときなど、妊娠を継続することが母や子にとってリスクになる場合には自然の陣痛を待たずに誘発の適応になる場合があります。
予定日を大幅に超えているとき。
妊娠40週0日が予定日、妊娠41週6日目までは正期産ですが妊娠42週から過期産といいます。妊娠期間が長くなりすぎると胎盤の機能が落ちてきて赤ちゃんが苦しくなることにつながる場合や、赤ちゃんが大きくなりすぎてお産に時間がかかるなどのリスクがあります。
これを防ぐために41週を過ぎたくらいから入院し誘発分娩になる場合があります。もちろん不必要な医療介入はできるだけしないため自然の陣痛を待つのですが、それでもなかなか陣痛が来なくて妊娠42週をこえてしまいそうな場合には誘発の適応になることがあります。
人手のある平日の日中で分娩を目指したいとき
双子の経腟分娩だと、赤ちゃんの処置をするスタッフや出血に備えるスタッフなど単胎(1人)を出産するときよりもより多くのスタッフを必要とします。
他にはお母さんにもともと脳や心臓の疾患があり急変する可能性がある場合、赤ちゃんに先天性の疾患がわかっており生後すぐに精密検査などを必要とする場合にも誘発の適応になる場合があります。
どんなことをするの?
子宮頚管拡張
お産のとき、子宮の出口である子宮口が10cmで全開になり、赤ちゃんが生まれてくることができます。通過してくる赤ちゃんの頭の直径はだいたい9cm大なので子宮口が全開しないと赤ちゃんは通ることができません。
お産にするために、子宮口を開いていく処置をします。施設や医師によって使用するものが違うのですが、以下のような物品を使用して子宮口を開いていきます。
ラミナリア
これは海藻でできた細い棒のようなものです。子宮口に留置することで水分を含んで膨らみます。増えるワカメを想像していただけるとわかりやすいのですが、増えるワカメって乾燥しているときは小さいけれどお水につけると膨らんで大きくなりますよね?あれと同じ原理で、留置するときには乾燥していて細いものを子宮口に留置することで水分を含み徐々に膨らんでゆっくり子宮口を開いていってくれます。
メトロ
こちらは風船のような形になっている器具です。膨らませる前の状態で子宮口に留置し、水を入れて膨らませます。
サイズや種類も様々で、「ミニメトロ、ネオメトロ、オバタメトロ、フジメトロ」などがあります。
ミニメトロが抜けた段階での子宮口の開きは3~4cm。ネオメトロが抜けた段階での子宮口の開きは5~6cmといわれています。そのまま陣痛がきて開いていくこともありますし、メトロが抜けた段階で痛みが遠のいてしまい、次に診察するときには一度開いた子宮口が縮んでしまう…なんてこともあります。
陣痛誘発剤
次に陣痛がこないとお産にはなりませんので、陣痛がくるためのお薬を紹介します。
オキシトシン
こちらは子宮を収縮させるホルモンのお薬です。
私たちの体の中でも作られるもので、乳首のマッサージをすることでも分泌されます。
このお薬を使うときには点滴の針を入れて、輸液ポンプやシリンジポンプを使って決まった量を体内に流していきます。モニターをつけて赤ちゃんの心音が元気であること、陣痛が頻繁に来すぎていないかを確認しながら30分ごとに体に入る量を増やしていきます。
途中で赤ちゃんが苦しいサインを出したり陣痛が頻繁に来すぎるときには、点滴を上げないで経過を観察したり、上げた点滴を一度下げたりするときもあります。
プロスタルモンF(点滴)
成分名:ジノプロスト
こちらも点滴のお薬で、子宮を収縮させる効能+子宮頚管を熟化させる効能を持ちます。
このお薬を使うときにも点滴の針を入れて、輸液ポンプやシリンジポンプを使って決まった量を体内に流していきます。モニターをつけて赤ちゃんの心音が元気であること、陣痛が頻繁に来すぎていないかを確認しながら30分ごとに体に入る量をupしていきます。
プロスタルモンE(内服)
成分名:ジノプロストン
こちらは飲み薬で、子宮を収縮させる効果と子宮頸管を柔らかくする効果があります。どちらかというと子宮頸管を柔らかくする作用に方が強いお薬です。
赤ちゃんの心拍と陣痛のモニターを見ながら、1時間に1錠、最大1日に6錠までを内服します。
この飲み薬で効果があり陣痛につながった際には、上に書いた点滴に切り替えてそのままその日の内にお産になるようにする場合もありますし、この内服だけで陣痛がきてお産になることもあります。
プロウペス(膣錠)
成分名:ジノプロストン
こちらは子宮頸管の近くに留置することで徐々に効果を発揮するといわれているお薬です。
子宮頸管を柔らかくするために使用します。
留置して後はゆっくりと溶けていくことでじわじわと子宮頸管を柔らかくしてくれます。
以上のお薬を使いながら出産を目指します。
誘発分娩でその日のうちに生まれることもあれば、1週間くらい生まれてこない赤ちゃんもいます。
入院と共に生まれるように思うかもしれませんが、母体にも赤ちゃんなも無理ないよう数日かけてゆっくり確実に進めていくものなので、数日間不発の日があっても気にせず焦らずいきましょう♪
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