みなさんこんにちは、助産師たまです。
今日は帝王切開の種類と緊急度についてです。
私自身が経験した「超緊急帝王切開」の体験談も書いていきます。
まず、帝王切開は、予定帝王切開と緊急帝王切開に分けられます。
予定帝王切開
<適応>
【赤ちゃん側の要因】
苦しいサインを出している、赤ちゃんのサイズがとても小さく経膣分娩するには赤ちゃんにとって負担が大きい、羊水が減ってきている、心臓などに先天性の疾患があり、生まれてすぐに治療が必要、逆子などがあります。
【お母さん側の要因】
赤ちゃんが骨盤を通れない児頭骨盤不均衡、コントロールがつかないくらいの高血圧、常位胎盤早期剥離、前置胎盤などがあります。
予定帝王切開は「経腟分娩することで母もしくは児の予後に関わる負担がかかることが想定されるため帝王切開で出産した方が安全」とみなされた場合に決定されます。
あらかじめ手術室の予約を取っておき、「〇月〇日何時から、何番の手術室でお産になります」と決められています。(後に書く緊急帝王切開が入った場合などには時間がずれることもあります。)
麻酔は部分麻酔(腰椎・硬膜外麻酔)で下半身のみの麻酔をかけて出産になります。
赤ちゃんの向きや胎盤の位置などによっては予定帝王切開でも縦に切る場合もありますが、近年では横に切ることが多いです。(横切開のほうが、傷は目立ちにくいです)
それに対して緊急帝王切開は、「今日中に帝王切開にしなければ母や児の予後に関わる場合」に決定されその日のうちに帝王切開になります。
緊急帝王切開
緊急度によって超緊急(グレードA)と緊急(グレードB,C)に分けられます。
今日は緊急帝王切開になるとどれくらいのスピードで進んでいくものなのか目安を書いていきます。
緊急度の高い順番に書いていきます!
カイザーとは、帝王切開のことです。
超緊急帝王切開(グレードAカイザー、クラッシュカイザー)
<適応>
今すぐに出産にしなければ、母児の生命や予後に関わるとき。
部分麻酔は時間がかかるので全身麻酔、横切開は時間がかかるので基本は縦切開で。
とにかく時間との勝負。
先生が「Aカイザー!(クラッシュカイザー!)」と宣言してから、だいたい10分以内で赤ちゃんの誕生を目指します。
私の場合、出血が止まらず、先生がAカイザーを宣言してから、とにかくスタッフが集まってきてみんなで手術室までストレッチャー押しながらダッシュ!あれよあれよという間に麻酔がかかって眠らされ、起こされたときには終わっていました。(スピード感すごすぎて怖かった。。)
グレードAカイザーは、「手術室があいてるかな」とか「点滴の針を病棟で入れてから」とか「おなかを切るのでばい菌がつかないように抗生剤の点滴をしてから」とかは一切考慮せず、とにかく一刻も早くお産にする必要のあるものです(といっても麻酔はちゃんとかけてくれるので痛くないですし、消毒もちゃんとしますので安心してくださいね!!)
私の勤務先では、「超緊急帝王切開用」として手術室がいつも1部屋あけられています。件数としてはそこまで多くないので、毎日の勤務で「超緊急帝王切開になったら行くスタッフ」は決められていないかわりに、決定したときは他のことはさておき集まれるスタッフ全員で、急いで患者さんをストレッチャーに乗せて手術室に急ぎます。
ちなみに最初に働いていた個人病院ではこういった超緊急帝王切開はありませんでした。
というのも、私の勤務先は夜間帯は麻酔科医が当直していなかったので夜間に緊急で帝王切開になる場合には産科の医師が自分で部分麻酔をかけて待機の医師を呼んで帝王切開していました。
また手術室のスタッフも夜間帯はいなかったので、夜勤中に帝王切開になると夜勤スタッフの助産師・看護師で手術室を開いて帝王切開の器械出しや手術の外回りという役目もやっていたのです。(すべての個人病院やクリニックに当てはまるわけではありません。)
以上の理由から個人病院やクリニックだと、「Aカイザー」という概念がそもそも存在しないこともあります。
緊急帝王切開(グレードB、Cカイザー)
<適応>
先ほど書いた予定帝王切開をする要因があるママに陣痛がきたり破水したときや、赤ちゃんが苦しいサインを出したとき、お産が進まなくなってしまったとき、ママの血圧が高くなってしまいコントロールがつかないとき、おなかの中で赤ちゃんの成長が止まってしまいおなかの外の環境の方が赤ちゃんにとって苦しくないと判断されたときなど。
緊急帝王切開は、緊急度によってさらにふたつに分けられます。
グレードBカイザー
(日本産婦人科医会では30分程度は手術室待機が可能なもの とされています)
赤ちゃんが苦しいサインを短時間で複数回出していたりお母さんの血圧のコントロールがつかないなど、このまま経過観察していては生命や予後に関わる可能性があるが、超緊急帝王切開ほど急がないけど準備ができ次第帝王切開ということになります。
グレードCカイザー
(日本差婦人科医会では1時間から1時間半程度の手術室入室待機が可能なもの とされています)
赤ちゃんの元気は確認できるけれどお産が進まなかったり(児頭骨盤不均衡や分娩停止)、帝王切開の予定だったけれど予定より前に破水して陣痛が来ていない場合で赤ちゃんが元気にしているときなどは、手術室が空き次第行きましょうということになる場合が多いです。
グレードB,Cカイザーは、手術室や麻酔科の先生と調整して「この手術があと何分で終わるのでそのあとで、何時何分に手術室に来てください」という形になります。
この場合はだいたい、病棟で点滴の針を入れて水分の点滴をしつつ、血栓予防のストッキングを履いたり尿を出すための管を入れたりして準備を進めてから手術室に入ることになります。
赤ちゃんの状態が悪くなり急いだほうがいいときなどは、Cで宣言→Bに変更して急いで向かうという場合もあります。もちろんAに変更という場合もあります。
今回は緊急帝王切開の分類について書きました。前置胎盤などで出血があると、「次に出血があったら帝王切開だよ」と先生からお話がある場合も多く、ドキドキしてしまいますよね。
少しでもイメージ作りのお役に立てたらうれしいです♪
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