これはもう昔からよく話題になる「帝王切開は楽でいいよね」という人がいてたびたび論争になる話題ですよね。
帝王切開が本当に楽なのか、帝王切開で生んだ私がレポートします。
まずは「全然楽じゃないですよ!!!!」という意見から。
生むときは痛くないが産後が痛い
帝王切開は必ず麻酔して行われますので、「出産する瞬間」はたしかに痛くはないです。
しかし皮膚から脂肪の層、筋肉の層を切って子宮という臓器まで切っています。産後麻酔が切れてからは痛みとの戦いです。次の日にだいたい歩行しますが、痛み止めを使っても痛いので点滴棒につかまって歩いている方がほとんどです。産後3日目くらいまでは電動ベッドのリクライニングを使わないと起き上がれないくらい痛かったです。
出産に関する合併症だけでなく、手術に関する合併症がおこることもある
帝王切開をするとき、麻酔科の先生からどんな麻酔なのか、どんな副作用があるのかについてお話されたり、産科の先生からどんな手術なのかというお話を聞きます。「麻酔同意書」や「手術同意書」にサインを書きます。
麻酔は腰から下の麻酔が一般的ですが、「急変したり、超緊急で帝王切開になった場合は全身麻酔にします」という説明を受けます。「急変する可能性あるの?」と大体の方が不安になります。同意いただけたらサインしてください、というのがまた恐怖をあおってきます。
産科の先生からは起きる可能性のある合併症について説明があります。どれも頻度は高くないものの、ドキドキする内容です。
私の手元にある手術同意書には「感染」「腹腔内出血」「腸閉塞」「膀胱損傷」「深部静脈血栓症」「肺塞栓」「癒着胎盤による大量出血」「腸閉塞」といった文字が並んでいます。確率は低いものの命に関わることもある、合併症が多く、怖くなってきます。こちらも同意書にサインが必要です。
次は「これは普通分娩よりいいところかも」と思うところを。
出産日が決まっている
帝王切開はあらかじめ日にちを決めて行います。
突然破水したり陣痛がきたりすれば早まって緊急帝王切開となりますので予定は未定ですが、いつくるかわからない陣痛や破水を待つ経腟分娩だと夫の育休はいつからにしよう?産後の手伝いはいつ頼もう?と、なかなか先の予定が組めないのも現実です。
経腟分娩だと37週に入ったらいつ生まれるんだろう…とドキドキしながら過ごす方も多いですが、予定帝王切開の場合は「何かが起きて早まることはあってもその日を過ぎることはない」と決まっていますので、産前産後の調整はしやすく、いつくるかわからない出産日にドキドキすることはなく過ごせます。
出産中、先は見える
経腟分娩だと陣痛に耐えながら
「これはいつ生まれるんだ、いつ終わりがくるんだ…」という方が多いのに対して、帝王切開はだいたい2時間くらいで終わることが多いです。出血が多いなどの緊急事態が起きて長引いても4時間程度で病棟に戻ってこられることが多いかなと思います。経腟分娩はお産の進み方にかなり個人差が出ます。
保険が適応になる
・帝王切開の場合、保険適応となるため、分娩費用が出産一時金の42万円(2022.12現在)以内で収まり、お金が戻ってくることがあります。※経膣分娩の場合は一時金で収まらないことが多いです。
・医療保険に加入している場合、手術となるので保険金がもらえることもあります。
それで、結局帝王切開は楽なのか?についてですが、
私個人の意見としては「どっちも大変」です。
帝王切開が楽で安全な出産方法なら、世界中みんな帝王切開で出産してます。
でもスタンダードは経腟分娩ですよね。
これって、「総合的に見た時に、安全に経腟分娩できる状況ならばその方が母児への負担が少ないから」なんです。
先ほども書いたような合併症のリスクがあったり、どうしてもおなかを切るぶん出血が多くなります。また陣痛というストレスを赤ちゃんが感じないまま突然誕生になるため、びっくりして最初の呼吸がうまくできない赤ちゃんの割合も帝王切開の方が多いです。
以上から、
「帝王切開は楽じゃない、経腟分娩も楽じゃない。みんな命がけで出産していて、みんなえらい!どっちが楽とか比べるような人は無視しよう。」
が私の個人的な見解です。
帝王切開で出産して心無い言葉をかけられ傷ついたママに、届きますように。
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