みなさんこんにちは、助産師たまです。
今日は早産に限らず新生児にみられることが多い黄疸について書いていきます。
どんな病気?
血管の中で赤血球が寿命を迎え、壊れると間接ビリルビンという黄色い物質が作られます。
新生児は大人に比べ、赤血球数が多い。
赤血球の寿命は大人の場合120日ですが、新生児の場合60~90日。
そのため、大人に比べて短期間でより多くの間接ビリルビンが作られます。
この間接ビリルビンは肝臓で処理されて腸に運ばれ体の外へ出ていきますが、赤ちゃんはこの処理する力(グルクロン酸抱合)がまだ未熟なため、処理しきれないビリルビンが血管から溢れて皮膚や白目を黄色くします。
また腸に一度運ばれても、再びビリルビンが吸収(腸肝循環)されることが大人より多いので、大人と比べてより黄疸が出やすくなります。
程度の差はありますが日本人の新生児のほぼ全員にみられるとされており、治療が必要となるケースも少なくありません。
24時間以内に出現する早発黄疸や、生後2週間以上続く遷延性黄疸は他の原因がないかを調べる必要があります。
治療することでビリルビン脳症(核黄疸)を予防する必要があります。ビリルビンは脳細胞に毒性があり、脳に影響を及ぼすことがあります。核黄疸は運動障害や難聴、知的障害などの後遺症を残すため、早期に治療することで核黄疸を予防します。
どうやって検査するの?
まずは皮膚のビリルビン値を見るために、黄疸計という器械を皮膚に当てて値を測ります。
一定の値を超えていた場合には採血をして、血液中のビリルビンが本当に治療が必要なほど多いのかを確認することになります。この血液中のビリルビンが基準値を超えている場合に、治療の適応となります。
どうやって治療するの?
治療は光線療法か交換輸血が行われます。
光線療法:青いLEDライトを赤ちゃんの体に当てます。このライトを当てることで間接ビリルビンが直接ビリルビンになり、体の外へ出ていきやすくなります。
光を当てたあと12~24時間で採血をし(施設によってどのタイミングで採血するのかは異なります)、基準値を下回っていればいったん治療を終了。その後12~24時間で再度採血をしてリバウンドしていないか(再度基準値を超えてビリルビンの値が高くなっていないか)を確認することになります。
母乳は変わらずあげることができますが、おしっこやうんちからビリルビンが出ていくのでしっかり量を飲んでたくさんおしっこをうんちを出すことも必要になります。母乳の量がまだ十分でない時には、一時的にミルクを追加してあげるケースもあります。
LEDライトが網膜に影響を及ぼすことがあるので、アイマスクをつけます。
交換輸血:おへその血管や手足の血管を使い、赤ちゃんの血液を大人の血液と交換します。
血液中のビリルビンや壊れやすい赤血球を除去したり、赤血球を破壊する抗体を取り除くことができ短時間でビリルビン値を下げることができます。
日本人は黄疸になりやすいと言われており、入院中に黄疸で光線療法を受けるケースは珍しくありません。日本を含む東アジア地域では、白人の2倍、黒人の3倍の頻度で黄疸が見られると言われています。
黄疸の治療で退院が1~2日延期になってしまう場合もありますが、近年日本でビリルビン脳症は稀で、早期に発見され適切な治療が受けられれば後遺症を残すものではないとされています。
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