みなさんこんにちは、助産師たまです。
今回は壊死性腸炎のお話です。
壊死性腸炎とは
腸の機能が未熟なまま生まれてきた赤ちゃんの腸の粘膜が損傷したり(腸管穿孔)、菌がついて感染(腸管感染)を起こすことで腸が壊死してしまう病気です。
壊死してしまった部分に穴があいておなかの中で炎症をおこしたり、壊死した部分から血液の中に菌が入ってしまい全身に感染が起きてしまう敗血症になってしまうことがあります。
原因は?
特に出生体重1500g未満の極低出生体重児に起きやすく、腸がまだ未熟であることが原因とされています。
体重が小さいだけでなく、呼吸障害やおなかの中で赤ちゃんが苦しくなる胎児機能不全、生まれた時に仮死状態になった場合にはさらに起こしやすくなるといわれています。
これは体内の酸素が不足したとき脳や心臓といったより大切な臓器に血液を多く流れるようにする体内の機能があるためで、そのぶん腸や腎臓に流れる血液が少なくなることが原因といわれています。
日本では約0.15%、とくに出生体重が1000g未満では1.5%程度の頻度であるとされています。
治療は?
まずは腸を休めるために授乳はストップして、抗菌薬という菌と闘う薬が投与されます。
腸に穴が開いてしまった場合にはおなかの中にある便など不要物を体の外に出すために管を入れたり、壊死してしまった部分を手術で切り取ったり、人工肛門を作って不要物が外に出せるようにします。
壊死性腸炎から全身の感染につながった場合には生命の危険にかかわってきますので、全身の管理が必要となり血圧をあげるお薬を使ったり場合によっては輸血などもしながら経過を見ていきます。
母乳栄養について
母乳栄養は壊死性腸炎を起こしにくいといわれています。母乳の中には菌への感染を防いでくれる働きや腸の粘液を成長させてくれる働きがあるためだと考えられています。
近年では、早産・低出生体重で壊死性腸炎を起こすリスクが高い場合に、ドナーミルクという寄付された母乳を使用する方法が取られることも多くなってきています。
寄付された母乳は低温殺菌処理され、医療機関からの要請がある場合に提供されています。
日本母乳バンク協会が管理をしており寄付できる条件がありますが、今後さらに国内に浸透していくのではないかといわれています。
以前早産ほど母乳がいいのかという記事を書きましたが、こういった理由からも早産児にはできるだけ母乳栄養のほうが赤ちゃんにとっては負担が少ないといえますね♪
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